さらば、わが青春の『少年ジャンプ』

著者
西村 繁男
出版社
幻冬舎
発行日
1997.11.25
シリーズ名
幻冬舎文庫
メモ記入日
1998.2.21
〈メモ〉
 文庫になったのを機会にようやく入手……して随分と置いておいてしまった。いかんいかん。
 マンガ雑誌の編集の現場のドキュメントとして第一級の資料……なんだろうなあ。どこまでリアルなのかは実際のところ判断のしようがないけれども、著者のマンガやその編集に関する考え方は率直に示されているのだと思う。そこだけでも十分に面白い。しかも人間ドラマ的な読み方をしても楽しめてしまう。この見事なバランス感覚。なるほど、編集者として優れた人なのだな、というのがよく分かる。
 ただ、職人と組織人とのバランスの問題の指摘とか、組合に関する議論の部分を、いつの間にかビジネス書感覚で読んでいる自分がちょっと悲しい。私も年をとったなあ。
 それにしても、一番面白いのは、二匹目のどじょう狙いの本が全然出てこないことかもしれない。語るべき人はもっといるはずなのだけれど……。それほど語ることが難しい業界だ、ということなのだろうか。とはいっても、戦後マンガの隆盛期を支えた人たちが、どんどん第一線から退いているみたいだし、聞き書き的な記録作業をやるべき時期が来ているのかもしれない。……と思うのは簡単だがやるのは難しいんだよなあ。ううむ。
 藤脇邦雄の解説が要点を突いていて面白い。『出版幻想論』『出版現実論』、買い逃してたけど、買いたくなってきてしまった。


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