グイン・サーガ外伝12 魔王の国の戦士

出版社
早川書房
発行日
1997.12.15
シリーズ名
ハヤカワ文庫JA
メモ記入日
1998.2.18
〈メモ〉
 いや、気持ちは分かる。
 そりゃあ、大鴉や大狼やらがグインの側にいるよりも、美少年剣士やら、その美少年が崇拝する足の不自由な天才少年が出てきたりしたほうが、書いてて楽しいよな。その方が読者も喜ぶし。うん。
 だから、いきなり年端もいかぬ男の子が、グインに向かって「おいらにいやらしいこと、する?」とか聞いたりするのもいいとしよう。イシュトバーン似(?)の美少年剣士が「ねえ、グイン、俺を抱いてよ」とかいうのも、まあいい。ある意味愉快ではあるしね。
 しかし、グインがちょいと演説しただけで、猜疑心の強い天才少年がころっとまいってしまうってのは、一体全体どういうこっちゃい。そんなに簡単に
頬を紅潮させ、思わずちょっと目をうるませながらその巨大な手を握った
りするようでいいのか? どこがどう天才なのか全然わかんないぞ。まあ、グインの話術がそれだけ巧みで説得力がある、という表現なのだろうけど、なんだかだんだん、豹は豹でも黒豹に近づいてきているような気が……。
 いいけどさ。グイン・サーガって、そういう話になってしまっているのだから。でも、私は、大鴉と大狼のコンビの方がまだ好きだったな。
 そうそう、マリウスの幼児退行もますます進行。おいおい、一児のパパだろう。それでいいのかよ……。


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