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タイトル50音順リスト
著者別リスト

少女マンガ読書メモ(1997年7月)


ラブパック 1〜3(1997.7.6)
天使のフェロモン 3(1997.7.6)
ささやななえ自選集 2(1997.7.6)
思考少年 1(1997.7.6)
聖迷宮 カノンの騎士(1997.7.6)
赤ちゃんと僕 17(1997.7.6)
純粋培養閲覧図(1997.7.6)
ひみつの海藤家 4(1997.7.6)
イライア 2(1997.7.6)
山田くんが通る 1(1997.7.7)
PINKトルネード(1997.7.7)
パラダイス・エッグ・ツアー(1997.7.7)
東京クレイジーパラダイス 3(1997.7.7)

ラブパック 1〜3

 大和和紀
 講談社 1997.6.13
 KCデラックス
(メモ)
 帯の『あさきゆめみし』の原点、というのは、ちょいと違うぞ、と思ったら、作者もそういう意味のことをあとがきで書いていた。そりゃそうか。
 氷室冴子が、『ざ・ちぇんじ』や『なんて素敵にジャパネスク』でやったこととっていうのは、基本的には、ここで既にできあがっているものを、小説で展開しなおす、ということだったのだな、と納得。
 初出がどこにも書いてないみたいなんだけど、見つけられないだけかなあ。本当になければ減点大。
 こういうめちゃくちゃだけど、勢いで勝ち、というような話が、描かれなくなっていった、っていうのは、何なんだろう。面白いだけに、ちょっと切ない。(1997.7.6)

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天使のフェロモン 3

 池沢理美
 講談社 1997.6.13
 講談社コミックスフレンドB
(メモ)
 ううう、これで完結か。1巻と2巻は、結構、頑張ってると思ったんだけどなあ。こういう話にしては、やはり短すぎた、という感じ。特に、主人公の手助けをするにーちゃんの気持ち、というか、何で手助けするのか、という部分が、スカッと抜け落ちているのが気になる。結構、大事なポイントだと思うんだけど。
 同時収録のギャグ作品の方が、結構面白いのは不幸かも。少女マンガのセルフパロディなんだけど、落ちはちゃんと少女マンガというところが、何だか講談社だな(?)という感じ。(1997.7.6)

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ささやななえ自選集 2 飛ぶ鷹――アギオン/お山の大将

 ささやななえ
 講談社 1997.6.13
 KCデラックス
(メモ)
 2巻は、いかにも24年組的、というか、萩尾・竹宮的なラインから、一気に方向転換して、木村みのり・矢代まさこ的というか、少女マンガ的文法を敢えて排除した「シリーズ・春と夏と秋と冬」がメイン。物語的なカタルシスを排して、日本の炭鉱町の日常的な情景の中で、少年の心の揺れを淡々と描く。ここから、いわゆるささやななえ的作品までは、あと一歩だ。そういえば、炭鉱町の生活の記録的な価値も出てきてしまっているような気もするな。
 対談は竹宮恵子と。回想話も面白いが、石森章太郎の影響を確認する話も、やっぱりそうだよなあ、という確認ができてありがたい。(1997.7.6)

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思考少年 1

 藤原薫
 ソニー・マガジンズ 1997.6.7
 ソニー・マガジンズ コミックス
(メモ)
 何となく、表紙で買わされてしまった。
 各話一見独立しているようで、組み合わせていくと、いろいろつながりが見えてくる、というしかけ。
 静的な画面の中で、信じていたものが壊れていく瞬間を、ファンタジックに描き出す、と説明すればいいのかな。表情はないけど、画面作りのセンスで見せちゃう作家って、以前はいっぱいいたような気がするんだけど、最近にしては、珍しいかも(そうでもない?)。
 『きみとぼく』ってこういう作家もちゃんと載せるんだ、というのが分かってなんとなく収穫。うーん、やっぱり『きみとぼく』を読まんと、今の少女マンガは語れんかなあ。(1997.7.6)

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聖迷宮 カノンの騎士

 神谷悠
 白泉社 1997.6.25
 花とゆめCOMICS
(メモ)
 今回は、二つのシリーズ合流篇がメイン。が、だんだんメインのシリーズがどっちか分からなくなってきたなあ。
 作者の思い入れが、徐々に結城の方にいっちゃってるのが、実によく見えて楽しい一冊。が、思い入れだけで終わらせずにちゃんと作品としてのバランスを取るところが、昔と違うところ。なんか、しみじみ、上手くなったなあ、と思ってしまった(偉そう)。
 色んな意味でハンデを背負った人たちが、強く明るく……はないか、強く胸を張って生きる、という明解な姿勢が気持ちよい。この前向きさは、最初のころから変わってなくて、何だかうれしい。(1997.7.6)

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赤ちゃんと僕 17

 羅川真里茂
 白泉社 1997.6.25
 花とゆめCOMICS
(メモ)
 多分、次の巻あたりに収録されるであろう最終回と、この巻に収録されている94話(とーちゃんの夢のお年玉の話)を読むと、何だか不安になる。頼むから宗教には行かないで……。
 あとは、段ボールのお家で寝ちゃう話が、初期の主題を思い出させてくれて、ちょっと嬉しい。
 何だか色んな話をやってみせる苦労が忍ばれる一冊。(1997.7.6)

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純粋培養閲覧図

 望月花梨
 白泉社 1997.6.25
 花とゆめCOMICS
(メモ)
 おおっ! これは久々にちゃんとエッチでグー!
 特に続編の「カルスの花園」の方が、未整理といえば未整理だけど、この作者の魅力がきっちり出ていて、よい。怪しげな先生の言動がたまらんわい。生殖器としての花(蘭)を、女の子の比喩として使った上で、さらにひっくりかえすところがナイス。
 書き下ろしのエッセイマンガ(?)の、友人に「蘭に試験官つっこんでくれ」と言われてたけど、そんな直喩的なことはやらねえよ、という話が異様に愉快。
 それにしても、親子関係が重要なキーになることが多い割に、その話になると、今一切れ味が悪くなるのは気のせい?(1997.7.6)

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ひみつの海藤家 4

 加藤知子
 白泉社 1997.6.25
 花とゆめCOMICS
(メモ)
 ついに完結。とはいっても、まあこんなもんか、という感じではある。
 描きたいことと、それをどう描くかがどうしてもかみ合ってない感じがするなあ。魔王とーちゃんとか、結構おいしいんだけど、上手く話の中で折り合いがつかないのかなあ。詰まらなくはないんだけど……。
 あと、最後まで弟のまま、というのはちょいとずるいのでは。まあ、『異国館ダンディ』と同じでは芸がないといえばないし、難しいわなあ。うーむ。(1997.7.6)

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イライア 2

 牛島慶子
 角川書店 1997.6.17
 あすかコミックス
(メモ)
 う、2巻で終わりだったのか。ちょっとがっくり。
 SF少女マンガの伝統を引き継ぐ作品、ではあるんだけど、つらい。イライアというキャラクター自体は結構、魅力的なんだけど、大上段に構えたテーマがどうも上滑りしてしまっている感じを受けてしまう。
 こういう話をやるときには、相当周到にやらないと、嘘臭くなってしまう、というのがよく分かってしまう。難しい時代ではあるんだろうなあ。
 一度代表作を書いてしまった作家の試行錯誤の一つ、というのがまっとうな評価になってしまうのかも。これで終わる作家ではないはずだけどね。(1997.7.6)

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山田くんが通る 1

 楠桂
 集英社 1997.6.30
 マーガレットコミックス
(メモ)
 楠桂お得意のオカルトものと、これまたお得意のラブコメの合体技。これでつまらんわけがないわな。
 しかし、『八神君の家庭の事情』とあまりにも似た人物配置なのは……まあ、しょうがないか。得意技だもんな。童顔の美少女かーちゃんとか出てくるわけじゃないし、良しとしよう。
 それにしても、少女マンガだろうが少年マンガだろうが、描き方がほとんど変わらないなあ(多少バックの花が多い気がするけど)。現代の弓月光と呼んであげよう(弓月光は今でもいるって)。それで別に問題ない時代でもあるのかもね。なるほど。(1997.7.7)

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PINKトルネード

 海月未来
 小学館 1997.7.20
 別コミフラワーコミックス
(メモ)
 こりゃ、まれに見る収穫。
 おんぼろ女子野球部が、存続を賭けて男子野球部と対決!って、こりゃ嬉しすぎの王道勝負。好きな野球を女の子であったがために捨てざるを得なかった苦しみを、きっちりと吹っ切って、再びマウンドに上がる主人公のかっちょよさがまた嬉しい。ちゃんと部活なのもポイント高い。
 芸能界もの以外にも、こういう手が成立しうるというのを確認できるだけでも収穫はでかい。
 同時収録の短編2本も、主人公の女の子のビシっとしたとこが、気持ちいい。
 効果とかに少年マンガの影響が大。少年マンガを読んできた作者だからこそ、描きえた作品なのかもね。ってことは、結局、元気のもとは少年マンガ、ということになるのか……。うーむ。ちょっと複雑。(1997.7.7)

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パラダイス・エッグ・ツアー

 えにぐまなみ
 集英社 1997.6.30
 マーガレット コミックス
(メモ)
 何か気になる絵だなあ、と思って買ったら、『酸素ルーム』の人だったのか。なるほど。
 こういう短編集は一本当たりがあれば、それでOKなんだけど……。ううむ、どれも可もなく不可もなく。 もう一息で面白くなりそうなのに……という感じが付きまとう。詰めが甘い、というところか。その中では、最後の「アイスクリーム・アイスクリーム」が、ちょっと良かったかな。
 どの作品も、ほとんどまんまでスピリッツあたりにのってても違和感はさほどなさそう。そういう志向性と、『ぶーけデラックス』という媒体との相性の問題もあるのかもね。何か、化けたら化けそうだけど。(1997.7.1)

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東京クレイジーパラダイス 3

 中村佳樹
 白泉社 1997.6.25
 花とゆめCOMICS
(メモ)
 何で、こんなに手に入りにくかったんだか。書店によって有る無しの差が大きすぎるぞ。発売日一週間遅れで探し始めて、本屋5件目にしてようやく発見したら、平積みドーン。あの苦労はいったい……。
 もはや、花ゆめの看板背負ってるもんなあ。当然といえば、当然か。アクションシーンに重点を置きつつ、ラブコメ的(?)部分とのバランスを取るところが、お見事。かつてバスケシーンにこだわってたのは、これの伏線だったんだねぇ。
 ヤクザ者と侠客との差異を描こうとするあたり、近未来を舞台にしつつも、時代劇的人情ものを再現しようとしているのではないかと、この巻を読んで初めて思った。なるほど、近未来って設定は、嘘っぽさをなくすための仕掛けだったのだな……って今ごろ気付くあたりが情けない。(1997.7.1)

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