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タイトル50音順リスト
著者別リスト

少女マンガ読書メモ(1997年4月)


天然素材でいこう。 2(1997.4.20)
ハッスルで行こう 6(1997.4.20)
オリスルートの銀の小枝 3(1997.4.20)
花と狼の帝国 3(1997.4.27)
怪盗セイント・テール 7(1997.4.27)
美少女戦士セーラームーン18(1997.4.20)
夜をどうしよう(1997.4.27)
エルメスの道(1997.4.20)
リターン 6(1997.4.20)
モンシェリCoCo 1〜3(1997.4.20)
風迷宮 花陽炎の殺人(1997.4.20)
翼を持つ者 2(1997.4.20)
Cute Bee Babies 2(1997.4.22)
青春は痛いっス 1(1997.4.27)
BUD BOY 6(1997.4.27)
なっちゃんの初恋(1997.4.29)
初恋のかくれんぼ(1997.4.29)

天然素材でいこう。 2

 麻生みこと
 白泉社 97.4.10
 花とゆめCOMICS
(メモ)
 いやー、各ページのレイアウトと白と黒のバランスがかっちょえー。  内容的には、脇役のトラウマ話2本が秀逸。一歩間違えば女版「いいひと」になってしまいそうなところをこの2本が見事に救った。
 他と違う「個」であること肯定が全編に通底しているところがポイントか。これをオタクであることの肯定と読まれてしまうと困るけど(でもそういう読み方しちゃいそう)。
 それにしても、世間の常識からちょいとずれてるが、個性的で魅力的な女の子ってのは最近の白泉社のトレンド(?)か。好きなパターンだからいいけど。(1997.4.20)

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ハッスルで行こう 6

 なかじ有紀
 白泉社 97.4.10
 花とゆめCOMICS
(メモ)
 めでたく完結。玲奈ちゃんのふられっぷりがグー。
 で、終わってはいかんか。ズブズブの恋愛物にならずに、あくまで料理人としての夢を目指して成長していく、という話とのバランスを最後まで見事にとりきった作者に拍手。ここまで出来るとは……。なかじ有紀を私は甘く見てました。反省。
 恋愛も料理人としてのキャリアもスタートラインに立ったところで終わるという潔さも気持ちいい。脇役の扱いも上手い。出すぎず引っ込みすぎず、存在感はあるけど、ストーリーの邪魔にはならない。この辺りも含めて、いろんな面でのバランスの取り方が、これまでのなかじ有紀作品より一歩前進した感じ。
 ここまでちゃんと構成されていると、番外編はないほうがいいと思うけど、まあ本編の単行本には入らないからいいか。(1997.4.20)

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オリスルートの銀の小枝 3 

 紫堂恭子
 角川書店 97.4.1
 ASUKA COMICS DX
(メモ)
 いよいよ本編突入、って感じ。女性化をこういう展開に使うって手があったのね。なるほどなあ。
 それにしても、これで3人のメインキャラクター全員が女性に変身したわけだな。ファンタジーものでずーっと継続して引っ張っている、魔と人との関わり、という主題と、男性の女性への変化という小道具がどう絡むのかとは思っていたけど……。
 こうなってくると、産む性としての女性の問題に関わってくる?
 あと善意による行動のもたらす被害、って問題はエンジェリック・ゲームからの宿題だな。(1997.4.20)

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花と狼の帝国 3 Die Weisse Rose

 藤田貴美・山下友美
 白泉社 97.4.15
 HLC
(メモ)
 1997.4.20現在未読
 これは全部揃ってからじゃないと読めないかもしれない。一気に読まないと重くて辛いような気がする。(1997.4.20)
 と、思ったら掲載誌休刊で未完だそうな。続きは同人誌かね。やっぱり。(1997.4.27)

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怪盗セイント・テール 7 

 立川恵
 講談社 97.4.4
 講談社コミックスなかよし
(メモ)
 1997.4.20現在未読
 アニメの開始とともに失速していった記憶があって、あんまり読む気になれない……。(1997.4.20)
 で、やっと読んだけど。なんだ、思っていたよりよいではないの。特にセイント・テール一度だけの復活ネタにはクラクラ。男の純情を弄んでくれちゃってまあ。えぐいぞ。つくづくキャッツアイじゃなくて、ぴえろ系魔法少女なんだよなあ。アニメの解釈の間違いがもったいない、としみじみ。(1997.4.27)

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美少女戦士セーラームーン18 

 武内直子
 講談社 97.4.4
 講談社コミックスなかよし
(メモ)
 最後はこんなもんかなあ。肉体の問題をある程度突き詰めてくれるのかな、と思ったけど、はずされてしまった。
 まあ、労せずして(?)子どもまで手に入れてしまった段階で、行き着くところまで行ってしまっていたので、それ以上を求めるのが間違っていたのかも。
 毀誉褒貶激しい作品ではあるけど、一つの歴史を作った作品であることは確か。まとめて読み直してみると発見があるかもしれんけど、読み返す気になかなかなれない……。(1997.4.20)

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夜をどうしよう 

 入江紀子
 白泉社 97.4.15
 HLC
(メモ)
 1997.4.20現在未読
 しまった。忘れてた。(1997.4.20)
 こんな良い物を読み忘れていていたとは、我ながら情けない。
 AIDSネタをこういう形で描ける作家は他にはいない。断言する。泣けるよ、こりゃ。
 それにしても、この他者にたいする視線の健康さ! 思い入れだけでひたすら話が展開するのが多い世の中で、この人の作品は心のオアシスだなあ。柔らかい描線がまたほっとする。
 「個人」という理想はまだ亡びていないのだ。うん。(1997.4.27)

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エルメスの道 

 竹宮惠子
 中央公論社 97.4.5
(メモ)
 エルメス社初の社史……って本当?
 という話はおいといて、エルメスが(言葉は悪いが)一族支配の企業であればこそ、マンガとしても結構面白いものになったということは間違いない。やはり「家族」というものは、少女マンガにおいて独特の意味を持ち続けているのだ。それを確認できる作品。
 そういえば、池袋の西武美術館でやってたエルメス展にあわせて、この本の原画展をビブロの前でやっていた。もうちょっとじっくり見とけば良かったな。(1997.4.20)

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リターン 6 

 三浦実子
 講談社 97.4.11
 講談社コミックスフレンド
(メモ)
 なーんだ、もうちょっと妖しい話になるかと思ったのに。にーちゃんの話は結構グッときたけど。
 むしろ番外編の方に、作品本来の可能性を見た。友情と恋愛感情の微妙な関連と、女(の体)であることの意味を、もう少し話のメインに持ってきて欲しいんだけど……。まあ、それでは話が進まんか。
 この話については完結してからちゃんと考えようっと。(1997.4.20)

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モンシェリCoCo 1〜3

 大和和紀
 講談社 97.4.11
 KCデラックス
(メモ)
 いやー、やっとこのあたりのが文庫になりましたか(どうもページ順がおかしいようなとこもあるけど)。それだけでも嬉しい! この手のを継続して出して欲しいなあ。
 お話的にはアニメに合わせた設定変更による無理が祟って壊れているところもあるけど、エンターテイナー大和和紀の真骨頂ともいえる展開と、70年代初頭ならではの躍動感溢れる絵柄を堪能できる。オシャレメモみたいなのも、ちゃんとそのままのっけているところも嬉しい。
 ドラッグネタが平気で出てくるところがまた時代だなあ。(1997.4.20)

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風迷宮 花陽炎の殺人 

 神谷悠
 白泉社 97.4.25
 花とゆめCOMICS
(メモ)
 今回はコンビではなくそれぞれ単独で活躍のお話。
 そうえいば、このミステリものシリーズが神谷悠の代表作になるとは、最初は全然思ってなかったなあ。話を重ねるごとに、人間の闇の部分とそれに対する救いの部分の対比の見せ方が上手くなっている感じがする。
 時代ものでやろうとしてあんまり上手くいかなかったテーマを、ちゃんと形を変えて追及していっているとこが偉い。
 サブシリーズのアキラ君シリーズは徐々に危ない(?)世界へと一歩一歩突入……と思わせつつ、という話にこれからなるのかな。(1997.4.20)

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翼を持つ者 2 

 高屋奈月
 白泉社 97.4.25
 花とゆめコミックス
(メモ)
 ありゃ、1巻買ってないのに買っちゃったよ。でも何で1巻買ってないんだ?
 近未来(?)SFであることにはあんまり意味がなくて、性への目覚めってのがキーポイントのお話(胸を強調する絵柄は意図してのことかなあ)に見えてしまう。どっちを作者が描きたいのか知らないが、その辺のバランスをこれからどう取っていくのか、楽しみ楽しみ。
 キャラクターものとしても楽しめるというのはいいけど、差別問題への視点はまだ甘い気がする。まあ、まだこれからの話という気もするから、ここで判断するのは早すぎるか。(1997.4.20)

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Cute Bee Babies 2

 央己あゆり
 秋田書店 97.5.20
 きらら16コミックス
(メモ)
 ようやく、現代の(?)『やじきた学園道中記』って感じになってきて、ちょいと嬉しい。まだはったりが足らないか、という気もするのが残念だけど。特に敵方の人間の登場のさせ方が下手。第2部の敵方(?)二人の登場シーンなんて、最初読んだとき、この人たち第1部に出てきたっけ、とか思ってしまった。主人公たちと絡めてから、正体見せるんならともかく、正体見えてから絡んでもしょうがないだろうに。
 この時期、作者がマンガの描き方忘れるくらいショックを受けていた(何にかはおまけエッセイマンガを読めば分かる)というから、まあしょうがないかなあ。
 まだまだ、『UNI TWO』の方が面白いけど、今後の精進に期待。絶対に正当エンターテイメントでも面白いものが描ける人のはずだ。当分見捨てるつもりはないぞ。(1997.4.22)

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青春は痛いっス 1

 筒井旭
 集英社 97.4.30
 マーガレット コミックス
(メモ)
 表紙で買ってしまった一冊。当たりか外れか……。
 と、思ったら大当たり。ギャグ全開の望月花梨って感じか(ちょっと違う?)。絵柄とかコマ割とかは、少年マンガの影響が強い感じがする。シンプルな線とリズミカルなコマの展開。ギャグの切れもこりゃグー。
 あちこちにほのかに(?)薫る変態指向と、少女マンガ的ロマンチシズム、そしてそのそれぞれの自己パロディ。三者のバランスがお見事。
 思わず初単行本「ナガシマをあげる」も遡って買ってしまったが、こちらはまだまだ、という感じ。毒が毒のまま出すぎ。その辺りをオブラートへ包むやり方が上手くなったんだなあ、きっと。今後が楽しみ。(1997.4.27)

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BUD BOY 6

 市東亮子
 秋田書店 97.5.25
 PRINCESS COMICS
(メモ)
 「妖しくなどできませんでした」といいつつ、ちゃんと絵が色っぽいですがな。
 今回は初期のシリアス系短編的指向が強い。やじきたでは、これをやりだして話が進まなくなったけど、今度はどうかなあ。取り敢えず、ここまで見た限りでは、エンターテイメント的な枠組みの中で、テーマ性の強い話をやる方法を身につけてきていると見える。上手くいけば代表作にもなりうるかも。さて。(1997.4.27)

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なっちゃんの初恋

 太刀掛秀子
 集英社 78.4.10
 りぼんマスコットコミックス
(メモ)
 これが百円(+消費税)で買えるとは……。いい世の中だなあ。
 太刀掛秀子を読んでいつも思うのは三原順との共通性。絵柄だけではなく、心理描写に効果を多用する点や、一つのコマの中に複数の心理的情景を同居させたりする手法、独白の使い方など、これを読んでますます共通点の多さを再認識。
 それを置いたとしても、表題作の点描や複雑な効果線を多用した心理描写は素晴らしいの一言。三原順の心理描写に燃えた人なら、確実にこれでも燃える。とにかく、私は燃えた。やはり少女マンガはこうでなくてはいかん。うん。
 しかし逆にこの徹底した心理描写が、現代のマンガ読者の嗜好からは外れているのかも。陸奥A子や田渕由美子に比べると復刻ペースが遅いのが気になる。(まあ、陸奥A子は現役だから話は別か)
 お話自体はコンプレックスを持った女の子が憧れの先輩と結ばれる、という定番だけど、そこに家族がらみの話をひっかけることで、なかなか美味しく料理されている。同時収録の「ほろほろ花の散る中で」は途中でネタ割れするものの、タイトルのイメージ通りの佳品。フォークってのが時代だなあ。
 こういうのがあるから古本屋巡りはやめられん。(1997.4.29)

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初恋のかくれんぼ

 前原滋子
 講談社 77.4.15
 講談社コミックスフレンド
(メモ)
 いや、凄い。よくパロディとして登場するような、典型的少女マンガなのだが、ここまで典型的だとは思わなんだ。少女マンガのコアの部分を思いっきり堪能してしまった気がする。やっぱ、男は白いギター持ってブランコで歌わなきゃいかんな。
 それにしても20年前にはキス一つでここまで大騒ぎしていたのにねぇ。と、思いつつ、その抑えたところが妙に刺激的であったりもする。
 収録作品は、杏と影という幼馴染みの二人が……ってこれ以上書くことないな、というシリーズ連作3点(「初恋のかくれんぼ」「恋はブランコ」「恋のあやとり」)と、短編「恋は強力接着剤」「キスはトイレの中で」。
 連作ものでは、関係の進展(といっても今みたいなのを想像してはいけない)に従い、女の子が綺麗になっていく過程を丹念に見せるところがなかなか。
 短編の前者は、赤ん坊を拾ったのが縁になって学園一のハンサムと、がさつ娘が……という展開。ボーイッシュな女の子が、好きな人のために女らしくなる、というところがミソ。これもやっぱり女の子が綺麗になっていく過程がポイントになっているな、そういえば。最後の一編は全寮制名門校の女の子たちが一人になれるのは超豪華トイレの中だけ、という設定が凄い。
 この手のタイプの作品は、時代を超えられない作品ではあるけど、だからこそ、強烈なイメージを残しているのかも。一度染みついてしまったイメージはそう簡単にはなくならないってことか。サーフィンのイメージから逃れられなかったビーチ・ボーイズみたいだな。うーむ。(1997.4.29)

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